宅建との出会いから試験を終えるまでを合格体験記として残します。受験を迷っている方、スクール選びに悩んでいる方、学習について参考情報が欲しい方等のお役に立てれば幸いです。
私は仕事で不動産業に関わった事はなく、土日休みの異業種の会社員です。転勤等で10回近く引越し経験がある為、取引士による重要事項説明は人より多く経験したとは思いますが、うんうん頷くだけで当然気に留める事はありませんでした。
受験勉強含めこれまで何一つ継続的に頑張った経験の無かった私は、ある日唐突にこのままでいいのかと焦り始めました。とりあえず何か資格を頑張ってみようと思い、1年未満の学習期間で取得できる資格を探していました。現在の業種上取得すべき資格は多分にあるのですが、いかんせん辛い仕事を思い出すようでやる気が起きませんでした。そんできるだけ受験者層の広い資格を探したところ、なんとなく宅建に辿り着きました。
半ば現実逃避で始めようとした資格勉強ですが、このような性分なので絶対に一人では成し遂げられない確信があり、スクールを探す事にしました。名古屋駅近くである点、同じ講義を何度でも受けられる点、講師及びスタッフとの相性を軸に、名古屋駅近くの宅建スクールと銘打った学校全てに足を運びました。
宅ゼミはとにかく目を引くHPと、膨大な合格体験記が印象的でした。今となっては書きたくなる気持ちも分かりますが、合格体験記にあった暴力的な文章量を前に「凄いですね」という薄い感想しか出てこなかったのを覚えています。
入校説明は高杉先生にマンツーマンで対応いただき、集合形式を取る他のスクールと比べてとても丁寧と感じました。他スクールと比較して分かった大きな違いとして、講師でないスタッフにも試験の相談ができる点、また入校希望者一人一人との距離の近さがありました。中には講師自身の経歴を売りにするスクールもありましたが、実務と資格勉強は別なので、宅建合格に対してどれだけ真摯に向き合っているかが重要と感じます。そのような点を考慮した結果、3月から宅ゼミに入校する事を決めました。
民法、宅建業法、法令上の制限、税金その他の順でカリキュラムは組まれています。平日は通勤の行き帰り合計1時間、昼休憩1時間、教室または自宅で2,3時間程度の学習時間を確保しました。土日は教室で2-5時間程度学習をし、仕事と冠婚葬祭以外は通学を優先しました。
民法を始めた頃は学習が楽しかったです。9月や10月になってまともに民法を復習するのは優先度的に不可能に近い為、多少スタートダッシュを意識し、しっかり頭に入れてから忘れる事が大切だと思います。
宅建業法に入って専門的な学習が増え、これはちょっと覚えきれないなと感じ始めました。法令上の制限に入って最初の講義でこれはもう無理なんじゃないかと思い、税金その他に至っては勘弁してくれといったところでした。ただ「ここは大事なところなので次週テストします」と言われたところは暗記アプリを使って無理矢理頭に詰め込みました。
夏季集中コースですが、出席した皆様も仰ってると思いますが、私もこの時ボロボロな点を採りました。そしていい加減まずいと思い、この日を境に本腰を入れました。具体的には宅建業法の最初からテキストと共に櫻井先生の講義を聴き、全問正解するまで穴埋め・過去問・○×問題を解いたら次の講義を聴く、の繰り返しでした。一部捨てた科目はありますが、このブルドーザー式に一から学び直す作戦が功を奏したと思っています。夏季集中コース終了から始めて9月半ばまでかかりました。
9月半ばを過ぎると宅ゼミのオリジナルテストが増えてきました。当然どれも私には難しく、出来の悪い答案用紙を見ては焦るばかりでした。このときも変わらず、間違えた問題をテキストに戻り、出来の悪かったテストが満点になるまで復習しました。残った時間では過去問を最初のページから解いていました。
10月に入ってからは、問題を間違えた時はテキストに印を付ける事に加え、端的に付箋に書いて該当ページに貼るようにしていました。実際に試験に出たところだと「媒介契約書 特約無効でも全体は有効」とか。合宿では莫大な量の問題を解く事になりますが、ここでも復習方法は変えませんでした。その後もやはり問題を満点にするまで復習し、忘れた頃に別の問題を満点になるまで復習、を繰り返しました。合宿の問題は多いので、分野毎に区切って満点を目指しました。
これは全く参考になりませんが、「当日は頭をスッキリさせて試験に臨んでください」という高杉先生の言葉を守らず、受験地近くのファストフード店に朝7時から籠もり、エナジードリンクを飲みながら問題を解いていました。そうでもしないと不安で気が変になりそうでした。
試験問題は70分程で解き終わり、残り50分を使って最初から見直しを行いました。見直しの中で2,3問は修正したと思います。頭をスッキリさせる事がいかに大切か身を持って知りました。それでも解けなかった問題はあり、確信を持って解けた問題は7割程度でした。もっと学習しておけばと後悔しましたが、そんな事も言ってられないので祈る気持ちで先に進みました。
自己採点の結果は38点、このままマークしていればきっと大丈夫、このままマークしていれば…という心境でした。あ、取れたという思いはあったものの、やっぱり不安は拭えませんでした。全部で4回自己採点をしましたが、点数は変わりませんでした。迷った末に不正解を選んだ問題や、後から解けば簡単に正解できた問題もあり、また40点の大台に乗る事ができず悔しい思いをしました。
「宅建が終わるまでは、一切宅建に関する情報は外部から仕入れない方がよろしいかと思います」という高杉先生の教えを忠実に守り孤軍奮闘していましたが、自己採点の後はTwitterで「宅建」をキーワードに延々と検索していました。当然こんな時間は無駄でしかないのですが、元来他人が気になる性分なので、合格点よ下がれ下がれと呪いの様な気持ちで過ごしました。
学習する中で気を付けていたのは、アドバイスを素直に聴く事でした。アドバイスの中でも、テキストに書かれていない講義内容は全てメモを取る事、講義を繰り返し聴く事、宿題はこなす事、ペン・色ペンの使い方、単元によっては勉強せず最初から捨てる事、宅ゼミ以外で宅建に関する情報を絶つ事を特に意識していました。異業種かつ学習経験そのものが無かった為か、自己流を取り入れる事なくアドバイスを活かせました。
逆に活かしきれなかった点は、当日の時間配分です。マークシートチェックの時間を十分に設けなかったせいで、自己採点後もマークミスの恐怖に苛まれ続ける事になりました。
宅建という資格試験の全体を通して、世の中の認識と実情は必ずしも一致しないと感じました。宅建は過去問をさらえば取れる資格だと言う方が少なくありませんが、もはや過去問の知識だけでは取れる資格ではないと私は思います。上位約15%という相対評価であり、ここ数年で合格点が上がっている背景を考えれば自明だと思います。実際に解いて感じましたが、基礎知識、踏み込んだ知識、過去問演習による出題傾向の把握、全てが必要でした。よく出るポイントや間違えやすいポイントを事前に知るのは簡単ですが、実際の問題演習を通してテキストに印を付けるプロセスが私には必要でした。
また簡単に取れる資格とも言われていますが、それは上位資格と言われる行政書士や不動産鑑定士等の資格と比較した際の話であり、それなりに覚える事が多く毎年の法改正もふまえると簡単とは言えないと感じました。ただ論述や実技試験が無く、4択問題という面では取っ付き易い資格とは思います。
宅ゼミでの学習を振り返ると、やはり櫻井先生の講義が一番糧になりました。他のスクールで講義を受けた訳ではないので比較はできませんが、丁寧で淡々とした説明で、きちんと聴いていれば「今のはどういう意味だったんだろう」といった疑問は一つも生まれません。受験者が躓くポイントを把握されており、要はどういう事?という部分に対し、櫻井先生の噛み砕いた表現が毎回ピッタリ合いました。引掛け問題で出されるような部分は「このように聞いてきますがこう答えてください」という説明や、ルールができた背景の説明があったおかげで納得して覚える事ができました。そしてそれらが頭の隅に引っ掛かり、テストや本番の時に活かす事もできました。
学習への向き合い方やテクニックについては高杉先生に全て教えていただきました。宅ゼミはいつでもプロに相談できる環境が整っていて、受験者にとって本当に心強いと思います。受験者がどういう時に不安になるか、どこで迷うかを熟知されており、いつも的確なアドバイスをいただきました。背景知識の全く無い私にとっては高杉先生が道標そのものだったと言えます。
合格体験記にも多々あるように、私も受験日まで1ヶ月を切ってからはいよいよ不安になりました。失敗したらまた来年受ければいいと考える受験者がわざわざ通学を選ぶはずもなく、高杉先生に漠然とした不安をぶつける事もありました。結局は学習しろという事なのですが、高杉先生の言葉でモチベーションが大きく変わりました。9、10月はかなり精神的に削られた期間でした。サポートいただき、ありがとうございました。
運転免許学科試験くらいしか学習経験の無かった私が、7ヶ月間学習を続け、合格という結果を出す事ができました。勉強に対して意欲が湧いており、次は英語でもやろうかななんて思っています。急に学習に対して前向きになったせいか友人からは遂に気が触れたのかと言われますし、自分でも驚いています。今は異業種ですが、いつかは宅建を活かした仕事に就くのも良いなと思っています。物に執着が無く何でも捨てる私が、ボロボロになった宅ゼミのテキストだけは取っておこうと思っています。宅建に関係のない生活を送っている私でもこのくらい変化がありました。
自分の今後について、今までに無かった新しい選択肢を見出だせた事が一番の財産です。私のような者でも、先生二人にしっかりついて行けば宅建は取れます。1年前の自分と比べて大きく前進できました。
櫻井先生、高杉先生、本当にありがとうございました。